「ニューヨークタイムズが日本の起業環境を1面で報道!
27日のニューヨークタイムズ、ウォールストリートジャーナル、英ファイナンシャルタイムズ等が安倍首相の靖国参拝を表紙で報じる中、ニューヨークタイムズが安倍首相の記事の下に日本の若き起業たちを報じている。今回はその一部を紹介し、僕の個人的な分析を載せる。
記事一部紹介
この国では長年成功とは灰色のスーツを着て企業でサラリーマンをすることだ。そんな中、サムライスタートアップアイランド(SSI)は起業の波を復活させ、日本の長年の病を治すだろう。(SSIのサイト:http://www.samurai-startupisland.asia/)
まだ起業ブームが統計には表れていないが、インターネットや技術関連の起業がここ2,3年で興り、SSIのようなベンチャーなどを資本面で支援するための投資ファンドを生み出している。資本面だけでなく、トップの大学も起業を生み出すだけでなく、起業のためのカリキュラムもある。若き起業家たちは安倍首相が因習にとらわれた企業体質を変えてくれることこそが本当の進歩だとしながらも、アベノミクスによりすでに投資家や顧客は見つけやすくなっている。
日本では伝統的に製造業などブルーカラーの業種での起業傾向があったが、最近ではその傾向は技術革新黎明期のため、ソフトウェアやコンピュータ関連(computing)に波及しているに過ぎない。小泉政権時代に起業が活発になるかと思われた。しかし、堀江貴文さんが逮捕されてしまったせいで、若者たちは「この国の高齢権力者は支配に挑む者をつぶすんだな」と悟った。
そんな中、SSIは古い習慣にとらわれた企業体質とは一線を画す。
日本とシリコンバレーのスタートアップを研究しているSanta Clara大学のRobert Eberhart教授が考えるに、「シリコンバレーより日本のほうが起業に熱いと思う」と言う。武蔵大学で起業を専門に研究している高橋徳行(のりゆき)さんや一部の人たち(原文はSome)は日本でベンチャーが活発になるにはまだ道のりは遠いとしている。日本がシリコンバレーのようなベンチャーキャピタルが盛んになるには、起業に対する悪いイメージを取り除かないといけない。堀江貴文さんに代表されるようなイメージや自由な自己表現を嫌う文化では起業家というものが強欲で自信過剰(原文はself-promoting)と見られてしまい、日本では起業・起業家に対する風当たりが強い。
感想・分析
他にも記事にはGunosyの福島良典さんやユーグレナの出雲などが日本の若き起業家として取り上げられているが割愛する。
今回の記事で印象的だったのが、ニューヨークタイムズが外国語で海外向けに日本のことを報道するにはかなり日本に詳しい、日本人の考えを代弁するような内容だったこと。例えば、日本は起業を嫌う国民性と、安定志向、ちょっと極端な言い方だが既得権益体質であるということだ。しかし、日本人が読むと、日本人が思いつかないような新鮮な視点や解決方法の提示などはなく、自分たちが普段考えていることそのままだったことだ。
記事で指摘されている通り、起業というものが以前の世代より今の世代には一つの選択肢として、考え方の一つとして広まっているだろう。その原因として、ビジネス書や自己啓発本などが「意識高い系」として揶揄される一方で、一定数の支持者がいるし、若者も少なくない。ビジネス書などで感化される人がいるが、実際に具体的にビジネスにできることを考え付いたり、行動を起こしたりするのは簡単なことではなく、資本問題を考え出す段階に至ることはさらに少ないだろうというのが個人的な意見だ。
僕が付け加えたいのは、最近の公務員志向がかつてないほどに高い(らしい)こと。公務員を目指す彼らの内、一部の動機として大企業の安定が以前ほど保障されていないという上記の起業家たちと同様の動機もある。その行動は起業家たちとは違う方向であるが、根底には同じような価値観がある。と、このように(大企業より公務員の方が優位な点があるから公務員を目指すのだ)という考え方があるらしいが、僕は個人的には疑っている。たぶん、公務員は安定しているだけでなく、楽そうだからという考えもあるだろう。
サムライインキュベートだ