日本がインドに抜かれた?中国がアメリカを追い抜く?購買力平価というカラクリ
インドが日本を追い抜いた?
世界銀行が4月30日ワシントンで発表したデータによると、購買力平価ベース(ppp)で日本の経済規模が相対的に小さくなっているらしい。
ソース:ブルームバーグ日本版http://www.bloomberg.co.jp/news/123-N4TXCY6JTSEV01.html
中国が今年中にアメリカ経済を追い抜き、世界一になる?
さらに、世界一の経済大国の座を中国が取るとの報道もあります。
ソース(日経):http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM3004C_Q4A430C1FF1000/
購買力平価説(PPP)って何?
このデータで使われている購買力平価(PPP)ベースとはどういうことなのでしょうか?このブログで分かりやすく解説しています。
http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/258885da7578759177a48c7111f3311b
同じ給料(収入)を得たとしても、日本で1万ドル貰うのと、中国で同額もらうのでは、「物価水準が違うので、購買力が違いますね、物価が低い方が相対的に裕福な生活ができますね」
世界銀行が使っている比較方法では、市場での為替ではなく、この購買力の差を加味して、一年間の国内で創出された価値の金額を調整するというものです。
例えば、インドと日本では生み出す価値が全く同じだと仮定してみましょう。(実際は日本の方が大きいです。)日本は一年で約600兆円生み出し、インドも約600兆円生み出すとします。この同じ600兆円でインド国内ではもっとたくさんものが買えますよ、という話なのです。
しかし、これは「対国内」であるため、対外的購買力、すなわち競争力ではありません。あくまで同じドル、同じ物価としての、学問上の対国内購買力です。
引用元:http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1467707914
はい、終了~
ヘンテコ理論を駆使した詭弁でした。
どれだけ国内で購買力があっても、海外から買う石油の金額は変わりません。
メディアのニュースではなく、世界銀行が出したレポートを読んでみましょう。
インドが選挙を行っている今これを発表するというのは、インドの現政権にとって(自分たちの成果を評価することになる為)有利なニュースでしたね。
順位はものさしによって変わってくる
よく言われるのは、
日本はもはや経済大国ではない。シンガポールや香港のほうが一人当たりのGDPが大きい
ということです。
この比較では日本が不当に不利になります。シンガポールも香港も都市という特殊な環境で、日本とは環境が違いすぎます。
都市国家というのは農業がほとんどありません。シンガポールの子供なんて鶏肉は工場で作っているとか、田んぼを知らないものもいるくらい農業と縁遠い国です。
シンガポール・香港の港や大きな橋に行けばわかるように、日本では見ないくらいたくさんコンテナがある、貿易の国・都市なのです。しかも、イギリスのように金融業で金を右から左に流すだけの、新たな価値を生み出さないけれども規模が大きい産業がたくさんあります。金融業は農業より効率よく儲けることができますので、農業がないだけで有利です。
都市同士を比べるならば、東京23区は実質GDP(一人当たりではなく全体)で見るとシンガポール・香港より規模が大きいです。
相対的な順位より絶対値の高い生活水準
将来的に見れば、インド経済が日本経済を追い抜くでしょう。経済規模のランキングが下がると何か不利益があるのかもしれません。経済力が相対的に小さくなることで、外交面などで不利になるかもしれません。
しかし、インド経済の順位があがったからと言って、すぐにインド国民全ての生活が豊かになるわけではありません。購買力平価より豊かな生活水準の方が利益があるのです。
ここまで日本経済を擁護するような屁理屈をこねておいて、順位を否定しても説得力に欠けますよね。